2017年3月18日土曜日

第8回 HARAKIRI 外国人の間違った世界観の戦国シミュレーション


信長の野望・戦国群雄伝や武将風雲録といった光栄の戦国シミュレーションが台頭していた時期、PC8801系のゲームがだんだん衰退し始めていっているころ。
ゲームアーツから発売されたのがこのHARAKIRIという戦国シミュレーションゲームだった。


まずオープニングが気合は入りまくっている。当時ADPCMを使った音楽がたまにあったり、台詞として使われることはまれにあったが、それでもかなり少ないほうだった。
そんな中、このHARAKIRIではFM音源と同期してオープニングの中で「セヤッ」とリズムをとったり、最後タイトルのとおりハラキリのシーンでは「介錯つかまつる」と武士がしゃべったり。
といった音声面での気合と、512色中8色しか使えないという88SR系のグラフィック性能をフルに活かした雅な日本の風景をアニメーションで描いている。

原案はオープニングにもネームクレジットされているJ.S.スタインバーグという外国人がデザインしたとされている。
実際はそんな人物はおらず、外国人が考えた風の戦国シミュレーションとしてバカさを売りとして発売された。ま、ある意味有名なゲームだから遊んだことがある人は多いでしょう。


そして気合の入ったオープニングから、始まったゲームは当時普通の一枚絵の日本地図を制圧していくだけの戦国シミュレーション。
信長の野望シリーズにあるように内政、外交といったよくあるコマンドで国を潤し、守り、攻めて行くという流れ。

決定的に違うのは歴史的背景だ。
ミカドから預かっていたチャノユの道具をショーグン方の忍者の妨害により壊されてしまったアソノはショーグンから「このチャノユの道具一つ預かることのできない田舎ダイミョーめ!」とののしられハラキリをする。
オーイシ以下、四十七人の家来はショーグン・ヨシムネを襲ってアルジの仇をうつ。ショーグンがいなくなり、その座をめぐりダイミョーが争い始めた。
というストーリー。
登場人物も時代に関係なく、普通に織田信長や武田信玄などに混じって源頼朝や足利尊氏といった戦国時代前の人物や大老井伊、ショー・コスギまでダイミョーに入っている。
そしてイベントしだいではペリーも来航するし、フビライハンも襲ってくる。めちゃくちゃ。
でもシヴィライゼーションだってそんなもんじゃないか。


それ以外にもパラメーターである「恥」。これが高くなると、各武将はハラを切りたがる。BANZAIといって自刃してしまう。ハラキリはそれ以外にもいらない武将に命じることも出来る。


このゲームでは配下の武将は20人までしかもてないので、使えない武将はハラキリさせないとならないのだ。
う~ん、シュール。そんなわけで千利休にハラキリを命じてみたり。


あとは普通の戦国ゲームでいう一揆とか豊作とかのイベントに混じって、ミカドへの献上やら花見やらが発生。貢物に関してはもっとも貢物が大きい大名にはカミカゼやら地震やらが授けられる。


さすが神様ミカド。


戦闘では最初に一騎打ちの選択がある。一騎打ちを始める場合はお互い礼儀正しく礼をしてから・・・。


相撲で決着する。一騎打ちで負けたほうは戦力の3割を失ってHEX戦闘にうつる。HEX戦は普通のシミュレーショと同じだけど、部隊の相性差がとても大きい。
例えば鉄砲部隊は忍者部隊には攻撃してもほとんどダメージは与えられないが、侍や騎馬隊が忍者と戦うと忍者部隊はあっという間に撃滅する。相撲部隊は大抵の部隊に圧倒的に強いが、鉄砲部隊にはこれまたあっという間に殲滅されるなど。
どの部隊がどの部隊に強いか弱いかを把握しておくことが大事(マニュアルにちゃんと書いてある。)


そしてハラキリの中ではなんだかんだ言って金の力は偉大。
調略で1回あたり金15で忠義が1ずつ下げられるが、忠義が高くても運が良ければ引き抜き可能。
単純な寝返りなら戦力ごと獲得できるし、内応工作すれば、籠城時に内応により城攻めよりも圧倒的に城レベルを下げることができる。内応は重要で、城レベル30ぐらい簡単に落とせてしまう。(裏切ってくれないこともあるが)


そして、忍者コマンドでは相手国に忍者を送り込むことで恥を上げることができたり。
つまり、相手国の武将がどんどん勝手にハラキリしてくれれば攻め込むのが楽になる。



まあ、それでも何だかんだいって運以外のたいして難しい要素はないので、戦国シミュレーション初心者には優しい作りのゲームだったのでした。

そして、このゲームを最後にゲームアーツはPC8801SR市場から消えたのです。

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